「○○キャラ」という表現で、特定の人をいじる風潮に疲れていませんか?
「天然キャラ」「モテキャラ」「お笑いキャラ」などと呼ばれている人たちが、本当の自分とは違うキャラクターを無理に演じていたとしたら、どう感じるでしょうか?
本人は嫌がっているにもかかわらず、「いじられキャラ」扱いされてしまうようなケースも中にはあるかもしれませんし、そうでなくとも、偽りのキャラを演じ続ければ、いつの日か必ず「辛い」「疲れた」「やめたい」と感じる場面が出てくるはず。
今回は、キャラ作りに疲れてしまう理由と、いじられキャラになりやすい人の特徴や対処法についてご紹介します。
「キャラ作り」とは?
キャラ作りとは、本来の自分とは違う自分を演じることです。
ちなみに、「キャラ」は「キャラクター」(character)の略語ですが、この言葉はもともと「彫る」、あるいは「刻印の道具」を意味するギリシャ語に由来しています。
刻印といえば、「デジタルタトゥー」という言葉が、最近は世間で話題になっていますね。キャラ作りはある意味、「心のタトゥー」と言い換えることができるかもしれません。
人は一体なぜ、キャラ作りをしてしまうのでしょうか?その心理について、少し深く掘り下げてみましょう。
なぜキャラ作りをしてしまうの?
例えば、新入社員が職場で最初に行う挨拶では、第一印象が特に大事ですよね。
普段より行儀よく振舞って、少しでも相手に良い印象を与えようと考える人は、少なからずいるのではないでしょうか?これも、ある意味では「キャラ作り」です。
とはいえ、「初体面の相手には礼儀正しくするのが最低限のマナー」という考え方のもとにキャラ作りをすることは、大なり小なり誰にでもあるでしょう。
そういった意味でのキャラ作りは、「人間関係を円滑にするための機転」と言えないこともありません。
大抵の場合、初めはキャラを作っているような人でも、人間関係を構築していく中で、次第に素の自分をさらけ出すことができるようになるものです。
キャラ作りの何が問題なの?
キャラ作り自体は必ずしも問題ではありません。ですが、過剰なキャラ作りによって偽りの自分を演じ続けることは、「生きづらさ」に直結するのではないでしょうか?
キャラ作りがエスカレートすると、偽りの自分を中心に物事を考えるようになります。
例えば、「本当はこうしたいけど、私のキャラとは合わない」などといった具合に。これでは、自分にとって本当は何が幸せなのか分からなくなってしまうので本末転倒ですよね。
行き過ぎたキャラ作りに走ってしまう人は、自分自身のコンプレックスを覆い隠す目的でキャラ作りをしている可能性が非常に高いといえます。
外見・性格・経歴・家庭環境など、人それぞれ抱えているコンプレックスは異なりますが、躍起になってキャラ作りをすればするほど、逆に不自然さが目立つことになるでしょう。
キャラ作りに疲れてしまう理由4選
行き過ぎたキャラ作りをしている人は、どんなときに疲れを感じるのでしょうか?
疲れを感じやすいキャラ作りの例について、いくつかパターンを挙げてみますね。
- 周囲の期待に応えるために「優等生キャラ」を演じる。
- 自分を個性的に見せるために「天然キャラ」を演じる。
- 人気者アピールをするために「モテキャラ」を演じる。
- ムードメーカーになるために「お笑いキャラ」を演じる。
ここからは、キャラ作りに疲れてしまう理由を解説していきます。
理由①:キャラと異なる趣味の話ができないから
キャラを演じることによる弊害としてまず考えられるのは、普段の自分のキャラクターと矛盾するような趣味に関する話がしづらくなるということです。
例えば、「オタクキャラ」というレッテルを貼られることを恐れて、ライトなキャラを演じていると、アニメやマンガに関する話ができなくなるかもしれませんね。
趣味が合いそうな人と、共通の話題で盛り上がれるチャンスなのに、あえて興味がないフリをしながら、心の中はウズウズして仕方ないというジレンマを抱えてしまいます。
キャラ設定を守るために犠牲にするものが多くなるほど、疲れを感じやすくなるでしょう。
理由②:友達に素の自分を見せれないから
キャラ作りを徹底している人がもっとも恐れるのは、「隠していた自分の本性が周囲にバレてしまうこと」です。
例えば、本当は一人が好きなのに、「陰キャラ」と思われたくなくて、大人数で騒ぐのが好きな「陽キャラ」を無理に演じてはいませんか?
素の自分を封印し続けることは、精神衛生上あまりよろしくありません。キャラ作りに疲れを感じる大きな理由の一つといえるでしょう。
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理由③:SNS投稿しても心が満たされないから
SNS上の人間関係においても、キャラ作りが原因でモヤモヤした気持ちを感じることがあります。
インフルエンサーのキラキラした投稿に憧れて、全く別人のキャラクターを演じてしまう「偽装リア充」と呼ばれる行為などは、その最たる例です。
その道のキャラ作りを極めた人は、三脚や自撮り棒を常に持ち歩いて、二人で遊んでいる風の写真を撮影したり、最悪は、他人のSNSから盗んだ写真を投稿してしまうこともあるといいます。
当然のことですが、そこまでして「愛されキャラ」を演じたところで、心が満たされることはないでしょう。結果的に「SNS疲れ」を引き起こしてしまいます。
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理由④:自分のキャラをいじられるから
無理なキャラ設定は、違和感として周囲にも伝わってしまうことが往々にしてあります。
「あの子って背伸びしてるよね」とか「あのキャラうざいよね」などといった陰口が、たまたま耳に入ってショックを受けることもあるかもしれません。
そのような経験が積み重なると、心が疲弊すると共に、自分が築き上げたキャラに対して自信が持てなくなってしまう可能性があります。
過度なキャラ作りから生じた周囲の偏見は、面白おかしく誇張され、最悪はいじられキャラ扱いされてしまうこともあるのです。
「いじられキャラ」とは?
いじられキャラとは、良い意味でも悪い意味でも周囲の注目を集めやすく、話のネタになるような人のことです。
一口に「いじられキャラ」と言っても、人によっては「人気者」を連想するかもしれませんし、場合によっては「いじめの対象」に見えてしまうこともあるでしょう。
いじられキャラはイメージが両極端に分かれる傾向にありますが、周りの認識がどうであれ、本人がいじられキャラ扱いされることにストレスを感じているのであれば、それは望ましいことではありません。
いじられキャラになりやすい人にはどういった特徴があるのでしょうか?
いじられキャラになりやすい人の特徴は?
人当たりが良く優しい人、何をされても怒らない人、そして、過度なキャラ作りによって「浮いた存在」となってしまった人は、いじられキャラ扱いされやすいかもしれません。
とはいえ、「いじられキャラはおいしいポジション」という考え方も、世の中には確かにあります。その他に、いじられキャラに対するポジティブな意見を紹介すると、だいたい以下のような感じです。
- いじられキャラはお調子者で常に笑顔。
- いじられキャラは実のところ頭がいい。
- いじられキャラは空気を読むのがうまい。
- いじられキャラは意外にモテる。
しかし、いじられキャラ扱いされることにストレスを感じている人にとって、このような意見は迷惑以外の何物でもないのではないでしょうか?
ただでさえ、キャラ作りによって生じた、本当の自分と偽りの自分とのギャップに苦しんでいるのに、いじられキャラに対する勝手なイメージまで追加されたのではたまりません。
「この子はいじられキャラだから何を言っても怒らなそう」と周囲から思われていることが、何だか見下されているようで悔しい思いをするでしょう。
かといって、そこでムキになって抗議しても、「いじられキャラが逆ギレしてる」と一笑に付されるのが関の山。そう考えると、無気力感から余計に疲れを感じるのではないでしょうか。
あなたの「いじられキャラ度」を診断
自分の「いじられキャラ度」はどの程度なのか、気になる人もいるかもしれませんね。
簡単な診断ゲームを用意しましたので、興味のある人はチャレンジしてみてください。
いじられキャラ度診断
約30秒で「いじられキャラ度」を診断します
あなたは友達が大切に飼っていた小鳥をカゴから出した際、うっかり逃がしてしまいました。どうしますか?
あなたは一つだけ魔法を使うことができるようになりました。それはどのような魔法ですか?
あなたは深い森に迷い込み、家に帰る方法を探しています。どういった行動を試しますか?
診断結果
いじられキャラ度:★☆☆☆☆
いじられキャラ度は高くないです。
診断結果
いじられキャラ度:★★☆☆☆
いじられキャラ度が少しだけ高いです。
診断結果
いじられキャラ度:★★★☆☆
いじられキャラ度がそこそこ高いです。
診断結果
いじられキャラ度:★★★★☆
いじられキャラ度がかなり高いです。
診断結果
いじられキャラ度:★★★★★
いじられキャラ度がとても高いです。
いじられキャラに疲れたときの対処法4選
「いじられキャラ度診断」の結果はいかがでしたか?周りからいじられキャラ扱いされ続けることで疲れがたまってくると、心のバランスを保つのが難しくなってしまいます。
今の状況から抜け出したいと思っている人のために、いじられキャラに疲れたときの対処法を最後に紹介します。
対処法①:いじられてもリアクションしない
わざと人が困るような質問をしたり、冷やかしたりして、いじられキャラの反応を楽しむ人が、世の中には少なからず存在します。
これは、ボケとツッコミの掛け合いで生まれる笑いを好むこの国特有の文化も影響しているかもしれませんね。
そのような「いじりキャラ」も、決して根が悪いというわけではなく、場の雰囲気を和ませる目的で他人をいじっているケースが大半です。誰かを本気で苦しめようとしているわけではありません。
ですから、自分がいじられたときに、間違ってもウケを狙ったリアクションは返さないようにすることが大切です。そうしないと、「この子はいじっても大丈夫なキャラだな」という誤解を相手に与えてしまいます。
対応を誤ると、結果的にいじられキャラが定着してしまう危険性があるので注意しましょう。気のない返事をしながら、意識的に笑うのをやめたり、受け答えのタイミングをずらしたりすると、より効果的です。
対処法②:いじってくる人と距離を取る
「いじられてもリアクションしない」ということを心掛けるだけで、大きく状況が改善される場合がほとんどだと思いますが、それでもしつこく付きまとってくる人がいる場合には、別の対処法を考える必要があります。
そのようなタイプは、人の気持ちがわからない、あるいは、自分より立場の弱い人間をいじることで優越感に浸っている可能性が極めて高いからです。
そのような人の標的になってしまうと非常にやっかいですから、物理的に距離を取ることをおすすめします。
もし仮に、それがあなたの友人であるとするならば、迷いを捨てて縁を切ることも視野に入れた方がいいかもしれませんね。
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対処法③:嫌なことはハッキリ伝える
いじってくる人と距離を取っても状況が改善されない場合には、ハッキリ相手に自分の気持ちを伝えてみましょう。
ただし、大勢の前だと「いじりキャラのメンツ」を潰すことにもなりかねず、下手をすれば、相手を怒らせてしまうかもしれません。できることなら、二人きりのときがいいでしょう。
真剣に相手の目を見て「本当は私、いじられるのが好きじゃないの。だからもうこんなことはやめてくれる?」と伝えれば、それがきっかけで相手との関係性が好転するかも?
それでも相手の理解が得られないようであれば、今後もお互いにとって良い関係性が築けるとは到底思えません。そのような場合は最終手段にシフトしましょう。
対処法④:頼れる「仲裁役」を見つける
いじられキャラから脱却する最終手段は、頼れる第三者に相談し、「仲裁役」となってもらうことです。
それが職場の人間関係におけるトラブルであれば、直属の上司に相談すると良いでしょう。ですが、上司との関係性において同様の問題が発生している場合には、パワーハラスメントに該当する可能性があります。
2022年にパワハラ防止法が施行されたことで、現在は中小企業でもハラスメント相談窓口の設置が義務付けられています。早めに相談して事態を収束させましょう。
まとめ
いかがでしたか?キャラを作って自分を良く見せようとするのは、別に珍しいことではありません。大抵の人にとって「あるある話」ですから、特に気にする必要はありませんよ。
問題は、自分自身が生み出したキャラクターに、四六時中、振り回されてしまうようなキャラ作りです。
とはいえ、今は多様性を重視する時代。キャラ作りの問題点について、ここまで解説してきましたが、「個性的な生き方」自体を否定しているわけではありません。
仮に世間とズレているように見えたとしても、それがあなた自身の本当のキャラクターであれば、何も恐れる必要はないのです。
自分軸を大切にして、むしろその個性を積極的に活かしていきましょう。
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