恋愛関係における嫉妬心は必要?不必要?
執筆した占い師:多聞先生
更新日:2022年7月12日
皆様、こんにちは。多聞でございます。
今回は、「恋愛関係における嫉妬心」についてお話ししたいと思います。「嫉妬」という言葉からどんなことを思い起こすでしょうか?
例えば、私たちに親しみのあるおとぎ話の「眠れる森の美女」という物語の中では、嫉妬深い魔女のマレフィセントが登場し、オーロラ姫の洗礼式に乗り込み、「16歳の誕生日の日没までに糸車の針に指を刺され永遠の眠りにつく」という呪いをオーロラ姫にかけてしまいます。
また歌劇「カルメン」では、真面目で純朴な軍人、ドン・ホセ伍長は、美しくも浮気なカルメンから、「私に惚れると危険だよ」という妖しい誘惑の言葉と赤いバラを投げつけられ恋の深みにハマってしまいました。
ところが、カルメンは闘牛士のエスカミーリョと恋仲になります。嫉妬に狂ったドン・ホセは、カルメンを殺してしまいます。
嫉妬はどちらかと言うとネガティブな感情です。嫉妬で悩む内向的な人は、他の人に打ち明けることもできず、一人で落ち込んでしまうかもしれません。
妬みや恨みの感情は、同時に敗北感、孤独感などを伴い、自己嫌悪に陥り、自虐的になる人もいます。それくらい嫉妬心は苦しいものです。
今回は、嫉妬心とはどのような感情なのか、それを防ぐにはどうしたら良いか、いろいろな対策などをお話ししたいと思います。
嫉妬心とはどんな時に起きる感情か
嫉妬心は本来夫婦関係や恋愛関係を維持するために必要な人間の感情と言われています。嫉妬心は、危険を感じる警鐘でもありますが、自分自身の心の在り方を見直すチャンスであるかもしれません。
嫉妬は女性だけでなく男性にも起きる感情です。どんな時に男性は嫉妬を感じるでしょうか。男性はパートナーの女性に性的に不貞行為があった場合、より強い嫉妬を感じる傾向があります。それに対して、女性はパートナーの男性に感情的な不貞行為があった場合により強い嫉妬を感じる傾向があります。
これは、男性には自分の子孫を増やしたいという本能があるからだと言われています。女性は自分の子孫を継続的に育てていきたいという本能から男性の感情的な不貞に嫉妬すると言われています。
嫉妬心は、一般的には愛しすぎることで起きる現象ですが、自尊心の低下を伴い、不安と恐怖に襲われ始めると、ヒステリー状態になり、他人だけでなく自分さえも攻撃してしまうようなことになります。
このようなことを考えるだけでも恐ろしくなります。私たちは、嫉妬心に対してどのような対応をしたら良いでしょう。
それには、先ずパートナーをどれくらい愛しているかということを客観的にみることが必要です。客観的に愛情のレベルを測るには、次にご紹介する方法があります。
恋愛感情を客観的に測る尺度の研究
本格的な恋愛感情の科学的な研究が始まったのは、1970年代になってからです。アメリカの社会心理学者、ルビン博士(Isaac Michael Zick Rubin 1944生まれ)は、1965年、イェール大学で文学士号を取得し、その後、博士号も取得しました。
その他にもハーバードロースクールに入学し、法学博士も取得しています。彼は社会心理学者であり、弁護士であり、作家でもあります。
彼の研究は、パートナーに対する感情について色々な質問を設定することによって、「恋愛」(LOVE)と「好意」(LIKE)はどのような感情なのか知ることができます。
このルビン博士の研究は、アメリカにおいて愛に関する「最初の経験的測定の研究」として認められました。
彼は、「Journal of Personality and Social Psychology」という専門誌で、「ロマンチックな愛の測定」という記事を発表しました。
具体的には、下記の13の質問に対して、9段階(低→高)のレベルを設定し、参加者にどのレベルかを回答させるというものです。
ルビンの恋愛(LOVE)の尺度
- もし愛する相手が、元気がない時は、真っ先に元気づけたいと思う。
- 実質的に全ての事を愛する相手に打ち明けられると思う。
- 愛する相手の間違いを無視することは簡単だと思う。
- 愛する相手のためには、ほとんど何でもしてあげたいと思う。
- 愛する相手に対する独占欲が大変強いと思う。
- もし愛する相手といっしょにいられないなら、本当にみじめに思う。
- もし孤独になってしまったら、愛する相手をまず探すことだと思う。
- 私の第一の関心事は、愛する相手の幸福だと思う。
- 私は愛する相手に対して実際的にほとんど全ての事を許すと思う。
- 私は愛する相手の幸福と健康な状態に責任を感じる。
- 愛する相手といる時は、その人に目を向けることにかなりの時間を取る。
- 愛する相手から打ち明け話を聞くのはとても楽しいと思う。
- 愛する相手なしで暮らすなんてとても辛いことだと思う。
私の誤訳・拙訳を補う意味で、原文を下記に示しておきます。正確に読み取って頂ければ幸いです。
[Loved one]は、彼の場合も彼女の場合もあるので、oneになっています。ここでは「愛する相手」と直訳しましたが、「恋人」と訳しても良いのではないかと思います。恋人のいる人は、パートナーを思い浮かべながら考えてみてください。
LOVE SCALE
- If [loved one] were feeling badly, my first duty would be to cheer him/her up.
- I feel that I can confide in [loved one] about virtually everything.
- I find it easy to ignore [loved one]’s faults.
- I would do almost anything for [loved one].
- I feel very possessive toward [loved one].
- If I could never be with [loved one], I would feel miserable.
- If I were lonely, my first thought would be to seek [loved one] out.
- One of my primary concerns is [loved one]’s welfare.
- I would forgive [loved one] for practically anything.
- I feel responsible for [loved one]’s well-being.
- When I am with [loved one], I spend a good deal of time just looking at him/her.
- I would greatly enjoy being confided in by [loved one].
- It would be hard for me to get along without [loved one].
次に「好意(LIKE)の尺度」もご紹介いたします。
ルビンの好意(LIKE)の尺度
- 友達といる時は、ほとんどいつも同じ雰囲気だ。
- 友達は、めったにないほど社会に適合性があると思う。
- 友達を責任ある仕事に是非推薦したいと思う。
- 私の意見では、友達は例外的に成熟した人だと思う。
- 私は友達の判断を大変信頼している。
- たいていの人々は、友達に軽く挨拶が済めば大変好意的になる。
- 友達と私はお互いに大変良く似ていると思う。
- 私はクラスやグループの選挙では友達に投票すると思う。
- 私は友達が、尊敬をすぐに勝ち取る人々のうちの一人だと思う。
- 私は友達が極めて知的な人だと思う。
- 友達は私の知っている最も好きな人々の一人だと思う。
- 友達は私自身がなってみたいタイプの人だ。
- 友達にとって賞賛を得ることは大変簡単だと私には思える。
【LIKE SCALE】の方も、同様に原文を示しておきます。「友達は」と直訳しましたが、この質問の意図からすると、「あなたにとって『友達』と言うものは」というような解釈をした方が良いのではないかと思います。
LIKE SCALE
- When I am with [friend], we are almost always in the same mood.
- I think that [friend] is unusually well adjusted.
- I would highly recommend [friend] for a responsible job.
- In my opinion, [friend] is an exceptionally mature person.
- I have great confidence in [friend]’s good judgment.
- Most people would react very favorably to [friend] after a brief acquaintance.
- I think that [friend] and I are quite similar to each other.
- I would vote for [friend] in a class or group election.
- I think that [friend] is one of those people who quickly wins respect.
- I feel that [friend] is an extremely intelligent person.
- [Friend] is one of the most likeable people I know.
- [Friend] is the sort of person whom I myself would like to be.
- It seems to me that it is very easy for [friend] to gain admiration.
彼は、上記のように13の質問を設け、恋愛(LOVE)と好意(LIKE)のそれぞれに9段階のレベルを設定し、どのくらいの「恋愛の度合い」と「好意の度合い」を持っているかという数値を測定しました。
その結果、恋愛(LOVE)と好意(LIKE)は、下記のような特徴があることが分かりました。
恋愛(LOVE)と好意(LIKE)の特徴
恋愛 | ⑴親和・依存要求が強い(相手と密接に接していたい) |
⑵援助傾向(相手のために援助を惜しまない) | |
⑶排他性(独占的に相手を保持したい) | |
好意 | ⑴尊敬する感情(相手を尊重し敬う) |
⑵類似点を感じ親近感を持つなどの感情(共感できる気持ち) |
また、別の特徴として、「恋愛(LOVE)の尺度」で高い得点を得た参加者は、得点が低い参加者よりも、お互いの目をじっと見つめ合う時間が長かったということを発見しました。
恋人同士であれば、愛情が強いほど見つめ合う時間が長くなるのは当然でしょう。
恋愛における愛情表現には、人によって個人差があり、客観的な測定をするのは難しいとも言えますが、しかし、ルビンの「恋愛」(LOVE)と「好意」(LIKE)の尺度は複雑な愛情を測定する試みとして、他の心理学者を発奮させ、更なる研究への起爆剤となったことは大きな功績と言えます。
ルビン博士は、「恋人」と「友人」の違いについて、さらに比較してみました。
その結果、恋人には、「恋愛」(LOVE)と「好意」(LIKE)の両方を感じるけれども、友人については、「恋愛」(LOVE)よりも「好意」(LIKE)の割合の方が著しく高いということが分かったのです。
ご自分でも、上記の質問に答えてみては如何でしょうか?
もしパートナーに対して、「恋愛」(LOVE)の割合が高ければ、独占性と排他性が強くなります。当然、愛するパートナーを奪おうとする人がいれば、強い嫉妬心を持つ可能性が高くなります。
恋愛(LOVE)の度合いが高い人は過度な嫉妬心に注意が必要
例えば、自分の恋人に新しい恋人が現れた場合、「自分よりも魅力的なのだろうか?」、「恋人を奪われてしまったらどうしよう」などと心配になります。
嫉妬心の強い人は、実際にそんなことが起きていなくても、将来そういう人が現れるかもしれないと心配する人もいるでしょう。
「恋人を失いたくない」、「今の関係を壊したくない」という感情が強すぎると、過剰な嫉妬心で疑心暗鬼になり、平常心を失い無用な口論や衝突を繰り返し、恋愛関係にもヒビが入るかもしれません。また、メンタルの病気になることも避けたいものです。
嫉妬心が強すぎると陥りやすいオセロ症候群
オセロ症候群の命名は、シェイクスピアの「オセロ」が由来となっています。妻に激しい嫉妬の念を抱く主人公、オセロの名前がもとになっています。恋愛の相手から裏切られるのではないかといった恐怖心から根拠のない妄想を持ち嫉妬心が抑えられなくなる症状です。
例えば、次のような症状が現れます。
オセロ症候群の症状
- パートナーに異性の上司や同僚と話して欲しくない。
- テレビに出ているタレントを褒めただけで浮気だと感じる。
- パートナーのスマホを逐次チェックしないと気持ちが収まらない。
- パートナーのSNSをチェックする。
- パートナーを24時間監視する。
- パートナーの財布や通帳もチェックする。
- パートナーの衣服やバッグに不審なものがないかチェックする。
その他にも不安や恐怖からパートナーに対して過剰な要求をして、断られると喧嘩になります。オセロ症候群は妄想性障害とも言い、パートナーが不貞行為をしているのではないかという思いが異常に強く心から消えません。
この病気のやっかいなところは、本人が病気だと思っていないことです。パートナーが、いくら不貞行為をしていないことを言っても何も聞き入れてもらえません。
パートナーが、本人の異常に気が付いた時は、本人に対して、精神科医やカウンセラーのような専門性の高い人に相談できるように仕向けてあげるように努めなければなりません。できればパートナーもいっしょにカウンセリングを受けると本人も行きやすいでしょう。
嫉妬心をなくす5つの方法
(1)深呼吸して気分を落ち着かせる
恋人が他の異性と仲良くしているのを見て、嫉妬心が湧くのは自然な事ですが、あまり過剰に嫉妬心を持つと、自分と恋人との関係を壊してしまうことにもなります。
嫉妬心が湧いてどうにも我慢ができない時は、先ず深呼吸をして、気分を落ち着かせることです。冷静になれば、恋人と異性が仲良くしていたのは、表面上の挨拶だけで、特別の意味はないかもしれません。 自分の間違った思い込みだけで悩むことは心配するだけ無駄な事です。
(2)恋人を信頼し感謝する
恋人が浮気をしているのではないかと疑心暗鬼になる時もあるかもしれませんが、自分がパートナーとして信頼されていることを思い出してください。
疑うことは今まで築いてきたパートナーからの信頼を台無しにしてしまいます。恋人を信じ感謝してください。感謝の気持ちを持って前向きに考えることが大切です。時間がたてば真実が見えてきます。
嫉妬を感じた時は、自分とパートナーの絆をもっと強化するチャンスかもしれません。パートナーを信頼し、感謝して安心する気持ちを取り戻しましょう。
(3)競争心を持たない
恋人に親しい異性の友人ができたとしても、それは友人関係かもしれません。その人と自分を比較して、競争心を持つことは、よけいに恋人との関係を気まずいものにしていきます。
どっしり構えて、無駄な神経を使うのは止めましょう。パートナーを自分だけのものにしようとすれば、喧嘩になります。
嫉妬は束縛と監視を強化し、パートナーを自分から遠ざけてしまいます。
(4)自信を持つ
自分には絶対の長所があると信じてください。それは誰にも負けません。今のありのままの自分自身で十分です。自分を褒めてください。
どんな小さなことでも良いのです。自分を毎日褒めることで自信が回復します。
恋人を愛することは、それだけで完璧です。愛されることばかり考えていると欲求不満になります。
(5)不安を持たない
まだ起きてもいない不幸を心配する事はやめましょう。その不安とはどこに原因があるのでしょう。特定できる不安もないのに心配ばかりしていると、それが本当に起きてしまいます。
良い事だけをイメージしてください。パートナーと幸せに過ごしている自分自身を生き生きと想像してください。そうすれば、不幸なことは起きません。
「私はパートナーに愛されている」というフレーズを不安が消えるまで繰り返してください。
頼朝に嫉妬心に燃えた北条政子は結果的に鎌倉幕府を支えた
歴史的に嫉妬深いことで有名な女性は、北条政子です。政子は保元2年(1157)、伊豆国(いずのくに)の有力豪族「北条時政」(ほうじょうときまさ)の長女として生まれました。
頼朝と政子の出会いは、歴史が生んだ偶然の出来事です。しかし、よりによって、浮気癖のある頼朝と嫉妬心の強い政子との取り合わせは、偶然だとしても大変興味深いものがあります。
浮気癖のある頼朝との出会い
源頼朝(みなもとのよりとも 1147~1199)は、「平治の乱」(1159)で源氏と平氏の戦いの結果、源氏が破れ、1160年、幼い頼朝は伊豆に流刑となったのでした。この時、頼朝は14歳でした。
流刑の身ではありましたが、「曽我物語」などによると、頼朝は、地方にあって清和源氏の流れをくむ高貴な身分の武将として扱われていたようです。従って、暮らし向きも囚われの身としては恵まれており、成人してから女性との恋愛関係も比較的自由に行えたようです。
頼朝は伊豆の豪族である伊東祐親(いとうすけちか)の管理下にありましたが、祐親が京に赴任中に頼朝は、祐親の3女の八重姫と密会し男児が生まれました。
それを知った祐親は激怒し、平氏からの追及を恐れ、男児を殺してしまいました。そして頼朝も殺そうと襲撃したので、頼朝は北条時政を頼って逃げたと言われています。
頼朝は流刑の身ではありましたが、伊豆は京から遠い場所です。そのせいか平家を意識せず、本来の高貴な生まれの人間として鷹揚な性格を発揮していました。
何か不都合な事件が起きても、自分は殺されるかもしれないという危険をあまり感じなかったのでしょう。将来、日本の政治の中心人物になる素養を持って生まれたと言っても良いでしょう。
妹の夢を買って将来の強運をつかんだ話
北条政子には時子という妹がいました。ある時、時子が自分の夢を政子に相談しに訪れました。その夢とは、険しい峰を登ったところ、日月が袖に入り、手には橘の実を持つと言うものでした。
それを聞いた政子は、その夢が吉夢(運の良い夢)と分かったのですが、「その夢は凶夢だから、私が買い取ってあげましょう」と、以前から妹が欲しがっていた鏡と小袖を渡してあげました。
そして政子は、その吉夢を自分のものとしたのでした。その夜、政子は不思議な夢を見ました。白いハトが金の箱をくわえてくる夢でした。朝になると、頼朝から初めて恋文が届いたのです。
頼朝は政子を意識していなかった?
ところが、頼朝から政子への手紙の件には、興味深い裏話があります。頼朝は、北条時政に3人の娘がいることを知って、手紙を書きました。
その中の次女に手紙を出しましたが、手紙を預かった家来の安達盛長が、次女が悪女と聞いていたので、宛名を長女の政子に書き直して手紙を届けました。
このことは、政子が次女の吉夢を買い取ったことにも関連して面白い逸話となっています。
頼朝と熱愛関係になった政子
手紙を受け取って、喜んだのは政子でした。それから恋の手紙のやり取りが始まり、そのうち密かに会うようにもなりました。
しかし、頼朝は流刑の身の上です。源氏の男性と結婚なんて現実的ではなかったはずでした。
父親の北条時政は娘の結婚については、桓武平氏の流れをくむ山本兼隆という別の武将を考えていました。しかし政子は家を飛び出し、頼朝のもとへ駆け込んだのです。
1177年、二人は結婚しました。この時代には珍しく恋愛結婚でした。翌年、政子は最初の子である大姫を生みました。
このことから、北条時政は、頼朝を支援する気持ちを固めたと言われています。
頼朝の愛人を排除
結婚した政子は、1182年(寿永元年8月)、男児(頼家)を出産しました。
ところが頼朝は、政子の妊娠中に密かに「亀の前」という女性を伏見広綱(ふしみひろつな)という家来の家に住まわせ、政子に内緒で通っていました。
政子の父親の北条時政(ほうじょうときまさ)の後妻である「牧の方」が、そのことを政子に伝えました。
それを聞いて、「頼朝の跡継ぎを生んだのに、浮気をしているなんて許せない」と政子が激昂したのも無理もありません。
すぐに「牧の方」の父親である牧宗親(まきむねちか)に頼んで広綱の屋敷を破壊させたのです。
広綱と「亀の前」は、大多和義久の屋敷に逃げるのに精一杯でした。
これを知った頼朝は、義久の屋敷を訪れ、牧宗親を呼び出しました。宗親は政子に命令されて広綱の屋敷を壊してしまったのですが、頼朝の前に出ると、それを正直に言い出すことができませんでした。
結局、個人的な恨みを晴らしたような言い方をしたので、頼朝の怒りは頂点に達しました。
頼朝は、宗親の髻(もとどり)を切ってしまいました。宗親にとっては、当時、武士として、髪の毛を切られることはとんでもない恥辱でした。
それを聞いた北条時政は、頼朝の仕打ちに怒り、一族を連れて伊豆へ帰ってしまいました。それ以上に怒りが収まらないのは政子でした。
脛に傷を持つ頼朝は仕方なく広綱を遠江(とおとうみ 静岡県西部)に流罪としました。
これで頼朝は浮気に懲りたかと思えば、今度は「大進局」(だいしんのつぼね)という女性に1186年(文治2年2月)に男子を生ませています。これを知った政子は、これまで以上に激しく怒りました。
本来ならば、男子の出生なのでお祝いするところですが、政子の怒りのために全ての祝いの儀式は取りやめになりました。それだけではありません。
5年後、「大進局」は鎌倉から追放になりました。生まれた男子は、京都の仁和寺に入り出家させられました。
静御前には同情した政子
静御前(しずかごぜん)は、源義経(みなもとのよしつね)の愛妾です。京の白拍子でした。
「義経記」(ぎけいき)によると、1182年に後白河法皇が白拍子100人を呼んで「雨乞いの舞」を舞わせました。舞を見ていた義経は、静御前の舞を見て気に入って妾にしたと言われています。
静は、義経が兄の頼朝から追われて京から逃れる時も行動をともにしていました。一行は吉野山まで逃れましたが、吉野山には女性は入れません。
義経と別れることになりました。義経は奥州へ逃れていきますが、静は追手に捕らえられ鎌倉に送られました。
頼朝は、静御前の噂を聞いて興味を持ちました。後白河法皇の前で舞った静御前が、京で一番人気の高い有名な白拍子であり、その美しい女性が、義経の愛妾であったことでも、妬ましいことだと思いました。
このような美しい女性を我が物にしたいと感じたかもしれません。
そこで、八幡大菩薩に舞を奉納するように説得し、鶴岡八幡宮で舞を披露することになりました。その時の舞で、静は義経を恋慕う歌に合わせて舞いました。
その歌とは、
吉野山 峰の白雪 ふみわけて 入りにし人の 跡ぞ恋しき
(吉野山の白雪を踏み分けて、入って行った義経さまが恋しいことだ。)
しづやしづ しづのをだまき くり返し 昔を今に なすもよしがな
(静、静と繰り返し私の名前を呼んだあの人がいたような昔の頃にもどりたい)
というものでした。
静御前は、頼朝の前で彼を褒めたたえるどころか、彼の期待を裏切り、義経を慕い、昔のように時が戻れば良いのにと歌い始めたのです。
これには、頼朝も驚きました。まるで頼朝のメンツを失わせるような歌です。
頼朝のとなりにいた政子は、頼朝が激怒し、どのように処罰しようかと思っている表情を見て取りました。
しかし、政子は、静御前のあっぱれな振る舞いを見て、「自分に似ている、芯の強い女性だ」と感じたのです。静御前の義経への一途な思いに感激し同情しました。
そして、政子は頼朝を制して言いました。「私も同じような境遇になったならば、あのように舞い、詠ったことでしょう」と言って、頼朝をとりなしました。
頼朝の浮気心には嫉妬心で冷たい仕打ちをする政子ですが、静御前のように愛する人への思いを、たとえ頼朝という強大な権力者の前であっても、堂々と白拍子として舞を披露する度胸の良さと潔さに、政子は静を褒めたたえたのです。
承久の乱(じょうきゅうのらん)で見せた北条政子の統率力
政子がただの嫉妬深い女性でなかったことを証明したもうひとつの重大事件があります。
それは承久の乱(じょうきゅうのらん)です。頼朝が鎌倉幕府を成立させ、事実上、天皇を中心とした政治が終わりました。朝廷は権威こそありますが、全国を支配する能力を失いました。
ところが、時が流れ、初代将軍の頼朝が死に、2代将軍、頼家も暗殺され、3代将軍の実朝も暗殺されてしまいました。これにより、清和源氏の流れを受け継ぐ者がなくなりました。
鎌倉幕府において将軍職を継ぐ者がいなくなってしまったのです。
こうした鎌倉幕府の乱れに、後鳥羽上皇(ごとばじょうこう)は、千載一遇のチャンスと見たのでした。全国から主だった武士を京に集め、鎌倉幕府の打倒のため、北条義時(ほうじょうよしとき)追討の「院宣」(いんぜん)を出しました。
この動きに対し、鎌倉幕府を支えてきた「御家人」に動揺が走りました。
「吾妻鑑」(あずまかがみ)によれば、政子は「御家人」を前に次の言葉を述べました。(本文は意訳してあります)
「皆、心を一つにして承るように。これが私からの最後の言葉です。故右大将軍(頼朝)が朝敵を征伐し、鎌倉に幕府を創って以来、官位や俸禄など、その恩は山よりも高く、海よりも深いでしょう。感謝の気持ちは浅くはないはずです。しかし、今、その恩を忘れ、天皇や上皇をだまし、幕府を滅ぼそうとしている者がいます。武士として名を大切に思うものは、藤原秀康(ふじわらひでやす)、三浦胤義(みうらたねよし)らを討ち取り、三代将軍の恩に報いてください。もしこの中に後鳥羽上皇のもとに行きたいものがいれば、今ここで申し出てください」
政子の言葉は「御家人」の本来の気持ちを取り戻させました。幕府において、早速、上皇側の軍と戦う作戦がとられました。そして幕府側の軍勢が整い、大軍をなして京に攻め入りました。
上皇側は院宣さえ下せば、全ての武士が味方につくと思っていましたが、実際は全く違いました。幕府側の軍勢の動きが早く、上皇側は守る時間さえなかったのです。
乱の決着は厳しいものとなりました。
後鳥羽上皇は、壱岐の島に配流となりました。 順徳天皇は、佐渡島に配流となりました。 土御門上皇は、土佐に配流となりました。 その他、上皇側についた武士のほとんどは、死刑、領地は全て没収となりました。
天下を左右した政子の言葉の影響力は偉大と言う他はありません。嫉妬心の強い女性として生きた政子ですが、頼朝への愛情の深さは海よりも深かったかもしれません。
しかも、後鳥羽上皇側の体制を崩し、幕府の再建を図ったことは歴史に残る偉業となりました。
「ナイルに死す」嫉妬心渦巻く謎の殺人事件
アガサ・クリスティーの1937年の小説「ナイルに死す」は、既に1978年の映画「ナイル殺人事件」と2004年のテレビシリーズの「名探偵ポアロ」で映画化され、2022年2月の公開で3度目の映画化になりました。映画をご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは、「ナイルに死す」(翻訳 加島祥造氏)に沿ってお話ししていきたいと思います。
謎の殺人事件を見事に解いていく名探偵のポアロの活躍は、何度読んでも新しい発見があり、緊張感があります。
登場人物の数も多く、それぞれの個性が一癖も二癖もあり、全ての登場人物が犯人になりうる状況の中で、冷静にポアロは分析していきます。
この「ナイルに死す」の楽しみ方は、ポアロを中心に自分もいっしょに推理を働かせて謎を解いていくということに重点を置いて読んでいくというのも良いですが、ここでは、事件の背後にある強力な「嫉妬心」に注目したいと思います。
殺されたのは、誰もが羨む大富豪のリネット・リッジウェイ、しかも彼女は若くて美人という女性です。世間の人々の評判は、あまり好意的ではありません。
彼女の尊大で傲慢な態度に、彼女を取り巻く人々の内心には、好意から殺意まで様々な思いが絡み事件を複雑にしていきます。
計算しつくされた殺人事件
最初から謎を解き明かしてしまいますが、この事件の主犯は、サイモン・ドイルというハンサムな男性、そして共犯のジャクリーン・ド・ベルフォールという不運な人生を送ってきた若くて美しい女性です。
サイモンとジャクリーンは恋人同士です。ポアロによると、この二人の関係は、「男を愛している女と、女に愛させている男」と言っています。
愛している度合いから言うとジャクリーンが上回っています。そして、ポアロは、ジャクリーンのことを何か危険なことをしそうな人物だと感じていました。
このポアロの直感は、物語の最後に起きる彼女の悲劇を暗示しています。
ジャクリーンとサイモンは愛し合っていました。そして婚約もしています。ジャクリーンは、二人の将来の結婚生活を夢多きものにするために、親友でもある大富豪のリネットに近づきました。
ジャクリーンは、サイモンをリネットの邸宅の管理人にしようと考え、リネットにサイモンの就職を頼みました。
ジャクリーンはリネットにサイモンの事を話しました。
「時には恋って、恐ろしくなることもあるの!サイモンとあたし、お互いのためにこの世にうまれてきたようなものよ。とても他の人を愛するなんて気になれないわ。だからあなたにぜひ助けてもらいたいの、リネット。あなたがこの家を買ったと聞いて、それでふと思いついたんだけど、あなた、土地や屋敷の管理人を一人か二人雇わなきゃあならないでしょ?その仕事をサイモンにさせてほしいの」
リネットはジャクリーンとは親友でしたので、ジャクリーンの婚約者に管理人の仕事を与えることに賛成しました。
ジャクリーンは、「時には恋って、恐ろしくなることもあるの」と言っています。この言葉に、彼女の「殺人計画」の兆しが見えます。しかし、この段階では、明確な計画はまだできていません。
ジャクリーンは恋人のサイモンをリネットに紹介しましたが、なんとリネットは、サイモンを好きになってしまったのです。このことは、ジャクリーンも予想していたでしょうか。それとも計画通りだったのでしょうか。サイモンはとびきりハンサムな男性です。リネットを口説き落とす自信はあったかもしれません。しかし、リネット自身がサイモンのことを好きになってしまいました。
サイモンとリネットとの結婚は、誰も予想していない突然の出来事でした。リネットには決められた婚約者とされる男性がいましたが、それをキャンセルし、サイモンと結婚することを強引に決めてしまいました。
このことが、利害関係を持つ様々な人物を動揺させ、新婚旅行の行先の「エジプト」へと引き寄せ、リネットの殺害事件を複雑にしていきます。
続々とエジプトに集結する関係者
リネットの結婚とエジプトへの新婚旅行には、彼女を取り巻く様々な人物がエジプトへ引き寄せられていきます。
その中には、故意にエジプトに行き、リネットの新婚旅行に合流した人々もあれば、偶然に旅行として参加した人々もいました。
ポアロのエジプト旅行は、初めから彼が計画した旅行でしたが、偶然にもリネットの新婚旅行と一致してしまったのです。
主な関係者 | |
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ティム・アラートン | アラートンの息子 |
ミセス・アラートン | ジョウアナのいとこ |
ジム・ファンソープ | イギリスでのリネットの財産管理人 |
ミス・ヴァン・スカイラー | 金持ちの老婦人、観光旅行 |
ミス・バウァーズ | スカイラーの世話をしている看護士 |
コーネリア・ロブソン | スカイラーのいとこ、スカイラーの随行者 |
ドクター・ベスナー | 医者 |
ミセス・オッタボーン | 女流作家 |
ロザリー・オッタボーン | ミセス・オッタボーンの娘 |
ファーガスン | ひねくれた社会主義者 |
レイス大佐 | 英国特務機関員 |
殺人の動機
ジャクリーンとサイモンの最初の計画では、サイモンはリネットの屋敷の管理人として就職し、リネットに近づき、恋愛関係になることをもくろんでいたでしょう。しかし、事態は急展開していきました。
リネットがサイモンのことを好きになってしまったのです。それも婚約者とみられていた男性を断ってまで、サイモンと結婚することにしました。
もちろん、リネットは、サイモンとジャクリーンが婚約中だということを承知の上の決断です。
サイモンとリネットの仲が結婚に進んでいく過程で、リネットを殺したいと言い出したのは、サイモンでした。彼は単純に「ヒ素」を使って、リネットを殺そうと思っていました。
サイモンの考えでは、リネットを殺害し、財産を相続し、何年か経ってジャクリーンと幸せな生活をするという漠然とした思いがありました。
そのようなサイモンを見てジャクリーンは、サイモンのことを可愛いと感じました。しかし、そんな単純で幼稚な殺人ではすぐに犯人が分かってしまう、もっと緻密で用意周到な計画を練らないと成功しないことをサイモンに納得させたのでした。
ジャクリーンは嫉妬に燃える女を演じて捜査をかく乱
リネットはサイモンと熱愛中でしたが、恋人を取られたジャクリーンは、嫌がらせのために、彼らを付け回すのでした。
そして、サイモンとリネットを精神的に追い詰め、チャンスがあれば殺そうとするくらいの勢いを示しました。
しかし、真実はサイモンとジャクリーンの殺害計画が、ポアロや警察にも分からないようにするための計算された演技であったのです。
サイモンの真実の気持ち
サイモンは、ポアロにうっかり自分の気持ちを告白してしまう間違いを犯しました。
「ご承知でしょうが、男って、自分が愛している以上に女から愛されることなんか、あまり望まないんですよ。」
「男は所有されているって感じるのが嫌なんだ。肉体的にも精神的にもね。男を所有するという態度!この人は私のものだ。この人は私のすべてだ。という考え。これには僕は我慢できないんです。誰だって我慢できないでしょうね。何とかして逃げ出したい。自由になりたいと思い始めますよ。」
この言葉は、サイモンの真実の言葉です。サイモンがジャクリーンにもリネットにも所有されることを嫌っているということを言っているのです。
ポアロは、この言葉で、サイモンがリネットのことを本当は愛していないことを見抜いてしまうのです。
謎の殺人現場での計画
ジャクリーンとサイモンは、新婚旅行中のリネットの寝室にどのように近づき、どのように殺すか、綿密に計画を立てました。
名探偵のポアロも同じ船の上にいることも計算の中に入れなければなりません。
嫉妬心に燃えた女を演じているジャクリーンは、誰が見てもリネット殺害の容疑者と思われても当然なのですが、そこはジャクリーンの緻密な計画が練られていました。
殺人の動機から言えば、ジャクリーンは第一の容疑者となることは分かっています。だからジャクリーンはわざと「アリバイ」のために、サイモンとの言い争いや銃の発砲などのシーンの目撃者を用意したのです。
撃った銃は、足で蹴って、ソファーの下に隠しました。後でサイモンが拾い出すためです。
サイモンは銃で脚を撃たれましたが、実は「赤いインク」でごまかしました。サイモンは、医者を待つ間のわずかな時間を使って、銃を拾い出し、リネットの寝室に行き彼女を殺しました。そのあと部屋に戻り、今度は本当に銃で自分の脚を撃ったのです。
名探偵のポアロでさえ、このトリックにごまかされ、最後の最後まで犯人を確定するまで、迷ってしまいました。しかし、ポアロの明晰な頭脳は、少しの矛盾も見逃しませんでした。
そして、犯人をジャクリーンとサイモンに限定することができたのです。
「ナイルに死す」の前半(200ページ以上あります)は、リネットを取り巻く多くの登場人物の描写や状況について詳しく書かれています。
前半では全く事件の進展が無いので、飽きてしまうかもしれません。
所々にポアロの第6感が出てきて、物語の流れにスパイスを効かせています。その暗示によって、後半の犯罪の匂いを感じることができます。
それが、トリックを解くヒントになりますので見逃すと面白味が半減します。興味のある方は、是非もう一度読んでみては如何でしょうか。
アガサ・クリスティーの謎の失踪事件
アガサ・クリスティーが起こした謎の失踪事件をご存じでしょうか?
彼女は1912年10月、22歳の時にアーチボルト・クリスティーと出会いました。彼は陸軍の航空隊員でした。二人は第一次世界大戦が勃発した1914年のクリスマスに結婚しました。
夫は、すぐにフランスに出征し、アガサは赤十字病院の救急看護奉仕隊に入隊しました。1918年に夫はフランスから帰りました。軍隊を退役しロンドンの金融街で働き始めました。
1919年に長女のロザリンドを出産し、幸せな家庭生活を送りました。
アガサの小説家としての活動も順調に進みましたが、1925年ごろから夫にナンシー・ニールという愛人ができてしまいました。
夫はアガサに離婚を切り出しましたが、アガサは離婚を承諾しませんでした。結婚生活は憂鬱な毎日となってしまいました。そんなアガサをかえりみない夫は、週末になると必ず愛人と過ごすことにしていました。
1926年12月3日の金曜日、週末の過ごし方をめぐって夫婦喧嘩が起きました。その晩、アガサはロザリンドをメイドに任せ、自宅から姿を消してしまいました。
翌朝、アガサの車が見つかりました。車は自宅から数キロ先の道路から外れた場所に放置されていました。
マスコミは、事件なのか事故なのか、謎の失踪をめぐって書きたてましたが、彼女の行方は分かりませんでした。
失踪してから11日後、アガサは、「スワン・ハイドロ・ホテル」で発見されました。自宅からは約300キロも離れた北イングランドのハロゲートという町にあるホテルです。
どうやって、彼女はホテルまでたどり着いたのでしょう。
しかも、彼女は、「テレサ・ニール」という名でチェックインしていました。夫の愛人の名前が、ナンシー・ニールでしたので、わざわざ愛人の名前の姓を使っていたのも不可解なことでした。
ホテルのスタッフが、彼女がアガサに似ていると気が付き、警察に通報していなければ、発見には至らなかったことでしょう。
発見当時、彼女は記憶喪失に陥っていました。また、記憶が戻っても彼女がこの失踪事件のことについて、何も語らなかったので、真相は分かりません。
この事件の後、1928年10月、アガサは夫と離婚しました。しかし、仕事上では既に小説家アガサ・クリスティーの名前が定着していましたので、そのままクリスティーの名前を使い続けました。
この失踪事件をめぐってマスコミでは様々な憶測が飛び交いました。計画的に失踪事件を起こし、夫に殺人の嫌疑がかかるようにしたものだという悪意めいた新聞もありました。
しかし、彼女の性格から判断すれば、夫への愛情を断ち切れない思いがあったのだと推測します。嫉妬に悩んだかもしれません。失踪時は、記憶もなくなるほどの精神状態であったかもしれません。
しかし、彼女が泊まったホテルは、かなり豪華なホテルで、ゆっくり寛ぐにはもってこいのホテルです。チェックインした当時、彼女はかなりの現金を持っていたようです。
夫との不和を慰めるため、嫉妬心を和らげて、自己再生を図っていたのかもしれません。そうだとすれば、ちょっとした彼女のミステリー風の逆パンチを夫に与えたのかもしれません。
そういうアガサも素敵ではありませんか。
▼多聞先生の前回の記事はこちら▼
恋愛における「マンネリ化」を解消するには?7つの効果的なポイントを解説します。
このコラム記事を書いたのは、「電話占い絆~kizuna~」占い鑑定士の多聞先生です。
多聞先生たもん
鑑定歴 | 20年以上 |
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得意な占術 | 霊感、霊視、前世占い、タロット占い、易占 |
実績 | 余命が1年と診断された女性を占ったことがあります。病名は癌ということで、彼女も諦めてはいるものの「どうして私がこのような運命なのか」という心残りの思いが消えない、悲しい思いで胸が張り裂けそうだというご相談を受けました。 抗ガン治療も続けておられましたが、診断をもらった以上、どんな効果があるのかご自分でも確信が持てず、憂鬱な毎日をすごされておられました。 タロット占いでのカードは、「ソードの9」というカードでした。現在は苦しみの日々ですが、居場所を変えれば良くなるというメッセージでもありますので、病院を変えてセカンド・オピニオンを聞いてみたらどうかとお勧めしました。 2か月後、お電話を再び頂き、新しい病院で、経過も良く希望が持てるようになったということでした。この時は、私ももらい泣きをしてしまいました。 |
得意な相談内容 | 恋愛、出会い、相性、浮気、結婚、不倫、離婚、復縁、三角関係、仕事、転職、適職、対人関係、運勢 |
多聞先生よりご挨拶
コラムを最後までご覧頂き有難うございます。
今回は恋愛関係における嫉妬心についてお話致しました。
嫉妬心は、私たちにはあまり有益なものではありません。まして修行の身であればなお更、しっかりと捨てなければなりません。
明治時代の曹洞宗の有名な僧侶で原坦山(はらたんざん)と言う人がいました。彼が若かったころ、もう一人の修行僧と旅をしました。ある時、二人は橋のない川に出ました。あいにく川は増水して簡単には渡れません。
ちょうどその時、一人の若い女性が川を前にして困っていました。坦山は女性に声をかけました。「私がおぶって川を渡りましょう」と言うと、女性は恥ずかしそうにしましたが、他に手段はありません。女性は「お願いします」と言うので、坦山は、「よいしょ」と女性をおんぶすると川を渡っていきました。
それを見ていたもうひとりの修行僧は、驚きと羨ましさで心中穏やかではありませんでした。二人は川を離れ山中を歩き始めました。それでも悶々とした思いが消えません。だいぶ山奥に進んだ頃に、ついに修行僧は「さっきのは何だ。修行中であるのに女性を背負うなんて許せない」と大声で怒りました。
すると坦山は驚きましたが、すぐに笑いだしてしまいました。そして修行僧に言いました。
「私はとっくにあの女性を下ろしているのに、あなたはまだ背中に背負っていたんだな。アッハッハッハ」
修行中の僧だから、女性を助けてはいけないというものではありません。人助けは大切です。それをそばで見ていて、なんと羨ましいと嫉妬してしまったのです。女性を助けた後は、この修行僧もこだわりなく「善いことをしましたね」とお互いにカラカラと笑って去って行けば良かったのです。
嫉妬心でお悩みの方、どうしたら良いか迷っている方、そうした時にこそ、絆の占いをご利用いただき、ご相談頂きたいと念願しております。
お客様から頂いた口コミ
女性40代
不安を取り除いて下さり、気付きを下さり、前向きに慣れました。色々とありがとうございます。
多聞先生は月の様にお優しく、色々な事をしっかり聞いて下さり良きアドバイスを下さいます。お陰様で楽しく過ごせそうです。