誤解の多い風水
執筆した占い師:南雲エマ先生
更新日:2020年12月11日
巷でよく見かける風水本を手にとってパラパラとめくると、少し前によく耳にした「西には黄色」というフレーズを思い出しました。
確か、そう、金運を上げるには西に黄色の何かを置くというものだったように思います。
他にも、「南はピンクか緑」というのも聞いたことがありますが、これらに対し、中国の伝統的な風水を学んでいる風水師の立場では、悪気なく正直なところ「??」という感じだったりします。
私南雲は、中国伝統風水を台湾出身の先生から学んだ風水師でもあるのですが、風水も含めた「開運」というジャンルについて申し上げるならば、決してないがしろに出来ない大切なファクターであると考えています。
「占術はすなわち戦術である」という考えを軸に、恋愛や仕事など様々なお悩みからの最善策や突破口を見出し、ご相談者様が勝ちに辿りつけるようにあらゆる占術(=戦術)を用いることが役目だと思いつつ真剣に鑑定させて頂いている身として、「ちょっと、氣の状態を教えてくれます?」とは、つまるところなかなか言い出しづらかったりします。
なぜなら、風水が一種のおまじない感覚のような、或いはちょっとした願掛けのような、そんな風潮を風水師である私自身が感じてしまっているからかもしれません。
というわけで、今回のコラムは、「風水とは、自然の摂理に基づいた環境学なんですよ!」というお話をさせて頂きます。
ルーツを辿ってみる
遠い昔の中国の晋王朝の時代に、郭璞(かくはく)という天文や卜占に通じた文学者がおりました。
その郭璞が残した「葬経(そうきょう)<別名:錦嚢経(きんのうきょう)>」という書が風水の始まりと言われています。
まぁ、漢文で難しいことを書いてらっしゃるわけですが、簡単に言ってしまえば、大地の生気に気を配りなさいと説いています。
そのことを「蔵風聚水(ぞうふうじゅすい)」という言葉で表すことができますが、これがまさに風水学の始まりと言われています。
次に、先述の大地の「生気」とはなんぞや?となりますが、これは、形が無く目に見えないものです。そうです、風水の話で良く出てくる「氣」です。この氣を読むためには、二つの方法があります。
一つは、「巒頭(らんとう)風水」というものです。巒頭とは地形のことで、山や水の形成からその土地の生気を判断する方法です。
四神相応という言葉を聞いたことがありませんか?四神とは、青龍、百虎、朱雀、玄武という東西南北を司る神々のことを表した言葉ですが、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
この四神の配置に適った土地(=相応する土地)を四神相応の地と言い、例えば、日本は古来より何度か首都を移転させていますが、平城京→長岡京→平安京に遷都したのは、最終的に平安京が四神相応の土地であったからだとも伝えられています。実際、こうした遷都に関しては、陰陽師が所属している陰陽寮という機関が深く関わっていたとされています。
もう一つは、「理気風水」というものですが、家屋(或いは墓)と居住者の相性を看る原理を用いて生気の流れを推測する方法です。
こちらが、広義的なものも含め巷に流布されているものであり、私たちがパッと思い浮かべる風水です。
簡単に説明すると、家屋などの建物に流れる氣の所在を推測し、居住する人への影響を看るものになります。
建物に流れる氣を推測するためには、間取りは必要不可欠ですし、より正確に見極めるためには建築年月日を使う流派もあります。
また、居住者の生年月日からその人の生まれながらにして持つ氣の吉方位及び凶方位を出し、建物に流れる氣を調整して居住者のコンディションを上げるという、かなり緻密で面倒くさい(!)作業だったりするんですよ。
とはいえ、氣というものは、家の中に勝手に流れるわけではなくて外から入って来るものですから、建物と人だけに注目してはいられず、結局は建物の周りの地形を含めた環境を看ないといけません。
そうでないと、氣の調整がうまくいかず、効かないこともありますし、効きすぎて逆に失敗になったりもします。そういうこともあって、大変繊細な占術でもあり、実際に現場に赴いての鑑定になることが多い占術でもあります。
次に、流派についてです。理気風水には流派があるのですが、風水のルーツは、実はここの辺りから少々ややこしくなります。
冒頭に出てきた郭璞の理論から幾つもの流れが派生していきます。最近大ヒットしているアニメの鬼滅の刃に出てくる呼吸法の種類のようなものですね(笑)使い手に合った呼吸に派生していく、みたいな。
私は八宅風水と九官飛星風水を使いますけれど、八宅風水は文字通り八宅派であり、九官飛星は玄空派に属します。(飛星派と表現しているものもアリ。)
この二つは時間の捉え方に相違はあるものの根っこは同じ教えなので、私の場合はいいとこ取りで融合もしますし、風水における私の師匠も異なる流派も念頭に置きながら色々と研究をしておりました。
先人たちもきっとそうやって細かく派生していったのでしょうね。
では、最近よく見聞きするカラー風水やインテリア風水などは、どういったものでしょうか。その点について、私独自の考察をお話しします。
先に申し上げておきますが、カラー風水やインテリア風水を決して否定はしておりません。中国から伝わった風水の基を日本の先人達が日本風土や日本民族に合うように変化させ、九星気学や家相に昇華させたことは素晴らしいことだと思うからです。
それ以降の今現在だって、時代や環境の変化は当然のことながら続いており、それに伴って色々と今に合うように変化させていくのは、全く以って自然な流れだと思うからです。
陰陽寮の存在と伝統風水の変化
日本において、飛鳥・奈良時代から明治時代まで、陰陽寮という現在の中央省庁のような国の機関がありました。
そこは、天文学の研究や暦の作成などの仕事を担っていましたが、天文観測からの占星術や中国から入ってきた卜術(吉凶判断)を扱ってもいました。
そこに、風水についても日本に入って来ます。伝えられた風水は、そこから少しずつ日本に合う独自の形に発展していきます。それが、「気学」です。
年末年始によく見かける九星気学によるその年の運勢についての冊子は、実は日本人に合わせて風水を変化させたものであると言えるのです。
とはいえ、中国の風水は人の運勢を読むことはしません。あくまで、土地の氣であったり、人の生まれ持つ吉凶方位を看るだけです。ここが、明らかな違いだと言えるでしょう。
ところで、映画やドラマにもなった陰陽師ですが、今でいう官僚です。映像作品を観ましたが、なんだかとっても妖しい術を使っていましたね(笑)
おそらくは、暦や時を司りながら、国家繁栄レベルでの吉凶判断や地の氣の判断をしていたわけですから、あの時代、それが本当に魔法のような術に見えたのかもしれませんし、実際それが宗教化のような変貌を見せ始め、権力の幅を広げていくようになりました。
話が逸れてしまいました。九星気学ですが、生まれ年からどの九星かを割り出し、運勢を占っていますね。この九星ですが、名前に「木・火・土・金・水」の五つのエレメントが入っています。
これを五行と言うのですが、自然界の摂理を表しています。この五行、実は東西南北の方位や色に対しても割り振られています。
さて、ここから、私の考察です。例えば、先述の「西は黄色」に注目してみます。西の五行は「金」です。であれば、色の五行の金色もしくは白色(←金に対応する色)なのではないか?と思いますが、ここでどうやら「氣の調整」という風水の考え方を用いているように思うのです。
金を強めるために、それを生む土を置くという考え方。そうであれば、土の色の五行は黄色なので「西は黄色」は頷けます。「南にピンクか緑」というのも、南の五行は火なので、赤色を柔らかくしたピンク、もしくは火を生むための木を置くということで緑、というのもわかります。
但し、これらは、中国の伝統風水を学んだものから言わせると、風水の原点である「その地の生気を読むこと」にはなっていない。そのため、伝統風水の風水師から疑問の声を多く聞いたりもするのですが…。とはいえ、先にも述べました通り、俗にニューエイジ風水などと言われるカラー風水やインテリア風水なども、今の時代に生きる人に合わせて生まれたものでしょう。
実際インテリアに関しては、氣の流れを通すために移動させたり、逆に悪い気を遮断するのにも使ったりしますので、インテリア風水に関しても、それが、伝統的風水とピタリと当てはまって効き目が出ればいいんじゃないのかしら?なんて、私は思うのです。
風水戦争
ここでひとつ、風水にまつわる面白いお話をしましょう。香港で起こった「風水戦争」についてです。
中国は元々、風水が生活の中に根付いており、住居のみならず事業の発展にも風水を利用するという感じでした。
自然の風水に大変恵まれた土地であった香港は、1997年にイギリスから主権が返還される以前から風水の活用に華僑たちがとても熱心でした。
香港に訪れたことがある人はご存知だと思いますが、龍の通り道である大きな穴を開けたビルが建っていたりしますよね。香港が世界の四大市場と言われるまでに繁栄したのは、風水の力が寄与しているという論調もあるわけです。
そんな香港に、風水戦争といわれるものが勃発しました。なんだか穏やかではありませんね(笑)
この風水戦争は、香港上海銀行と中国銀行香港支店の間で起こりました。
もちろん、公式に「風水戦争だ!」と表明したわけではありませんが、風水師から言わせれば、明らかに相手を潰して自分を繁栄させようとして建物を建てたでしょ?というもの。
中国銀行香港支店が全面ガラス張りで超高層の上に鋭角を持った形状のビルを香港上海銀行のすぐ近くに建てたわけですが、これは周囲に悪影響を及ぼすものなのです。
陽の光を反射して周囲を強度な光で照らす「理気?(殺)」と、尖った刃のような鋭角を向けられる「形?(殺)」は、周囲のビルにとっては悪相のビル以外のなにものでもない。ネットなどで写真検索しても出てきますが、形としてはユニークですし、夕方に遠くから見れば夕日が反射してとても美しいと思うようなビルで、実際話題にもなりました。
ですが、周囲のビルにとっては、「おたくのせいで運気ダダ下がりですよ、ちょっと勘弁してくれませんか?」といった感じです。特に殺を向けられたのは、香港上海銀行です。おまけに、この両銀行のそれぞれの正面玄関には獅子の石像とライオンのブロンズ像が置かれており、まるでお互いを威嚇し合っているかのようです。
ここで、この二つの銀行の背景について言いますと、両銀行共に日本でいう日銀の役割をした銀行、つまり、両銀行共が紙幣を発行できる銀行です。そして、香港上海銀行はイギリス資本、中国銀行は言わずもがな中国資本…ということで、我こそが資本を牛耳るぞ、という部分においての野心もあったのではないか?とまで言われています。
とはいえ、この二つの銀行の戦いには色々な見方があります。というのも、そもそも先に香港上海銀行の方が、まるで要塞のような厳つい高層ビル(周囲に悪影響)を中国銀行の旧館の隣にわざわざ建て、その建設の際には「納気法」という繁栄を招く造りまで加えている、といったこともあるからです。
発展していく街では、大きな建物や人を呼び込むために新しいデザインの建造物を建てたりするでしょうが、本来ならば、殺を受けたら、それを和らげる「化?(殺)」を使うのですが、お互いが挑発を受けて立って攻撃し合うような様相を呈したことから「風水戦争」と言われるまでになったのでしょう。
九官飛星流年法によるクリスマスのレイアウト
では、せっかくなので、流年法による九官飛星にて、今年のクリスマスのおすすめ配置について記します。
恋愛運を上げたい方へ
ポインセチアやアマリリスなどのクリスマスカラーの生花を部屋の中心から北東(もしくは家の中心から北東の部屋)に飾りましょう。
ここで気を付けるポイントは、「切り花であること!」です。そして、クリスマスツリーは西の部屋、もしくは部屋の中心から西の方位に飾って下さいね。
金運を上げたい方へ
ポインセチアなどのクリスマスカラーの生花を部屋の中心から北西(もしくは家の中心から北西の部屋)に置きましょう。この場合は、恋愛運と違い「植木鉢」でお願いしますね!
また、クリスマスツリーは南西に配置して下さい。今年の南西からは、仕事のキャリアや学業に関する良い気が入って来ますので、仕事運学業運そのものの底上げにもなります。
特に昇進試験や資格試験、進学受験を控えている場合などは、この方位を綺麗にしておくことをおすすめ致します。また、クリスマスツリーを片付けた後もバンブーを四本用意して飾ることで良い運気が入って来ますよ。
まとめ
今回は、少し長いコラムになってしまいましたが、それでも風水のほんの微々たる部分についてしか書けませんでした。
本当に奥が深く、複雑で繊細な占術であると思います。このコラムをきっかけに、試した風水が利かなかった場合、何か効かない理由があるのかもしれない、と思って頂ければ幸いです。
と言うのも、氣は目には見えませんが、存在を否定することは出来ないからです。心や気持ちも目には見えませんが、皆さんそれぞれの胸に確かに存在しますよね。
氣の流れを整える際に強すぎるのか、弱すぎるのか、はたまた氣の巡る方向自体が掴めているのかどうか…色々と考えて試してみると効き目があるかもしれませんよ。
▼南雲エマ先生の前回の記事はこちら▼
曖昧のススメ ‐柔らかい思考でラクに生きる‐
▼南雲エマ先生のインタビューはこちら▼
占い師インタビュー:南雲エマ先生
このコラム記事を書いたのは、「電話占い絆~kizuna~」占い鑑定士の南雲エマ先生です。
南雲エマ先生なぐも えま
鑑定歴 | 21年以上 |
---|---|
得意な占術 | 霊感・霊聴・スピリチュアルタロット・数秘術・九官飛星風水・八宅風水・夢診断 |
実績 | ◆女性誌の占い特集にて掲載 CLASSY.[占いに導かれた幸せの恋愛日記]/ BLENDA[キメる恋の占い]/ CLASSY[心が身体が魂が幸せになる占い体験]など多数 ◆有名女優やものまね芸人、モデルなど有名人の鑑定実績あり ◆アイドルグループのイベント開催時、アプリにて鑑定出演 ◆政界より某政治家ブレーンからの依頼及び鑑定実績あり ◆女性向けポータルサイトにて、開運についての記事執筆 |
得意な相談内容 | 恋愛全般(両想い、片想い、出会いなど) 結婚・離婚・不倫・復縁 仕事(適職、転職) 人間関係 時期予測(未来予測) 風水による開運・引越し 夢診断(ユング派) |
南雲エマ先生よりご挨拶
今回のコラムは長くなってしまい読みづらかったかもしれませんが、最後までお読み下さり誠にありがとうございました。
今年もとうとう12月に入りましたね。
寒さも本格的になって参りましたが、皆さま、どうか、くれぐれもお身体にはお気を付けくださいませ。
皆様のご健康を心から願います。
お客様から頂いた口コミ
女性50代
エマ先生
この度は 素晴らしいお力で 深く内容の濃いご鑑定を 誠にありがとうございました。
先生に巡り会えましたことに 感謝の気持ちでいっぱいです。
切羽詰まった状況の中 ご相談をさせていただきました。
真摯に向き合ってくださり、精度高く視ていただき 的確にかつ丁寧に お応えをくださり 本当にご相談をして良かったと思っております。
アドバイスもしっかりとしていただき、好転につながる為に とても親身にお話をしてくださる 素晴らしい先生です。
この状況を チャンスに変え、望む将来を実現させる為に 先生のアドバイスをもとに精進して参ります。
今後とも どうぞよろしくお願い申し上げます。
彼と私のお付き合いが実現しますよう ご縁をお結びいただけますと幸いです。
本日は 本当にありがとうございました。
感謝。